イタイイタイ病(イ病)は富山県神通川流域に発生し、昭和30年代に住民とその地域の開業医萩野昇氏の努力によりその存在が世の中に広く知られる様になりました。昭和43年裁判により日本最初の公害病として認定された疾患であり、その根拠は同年5月8日に出された7項から成る厚生省見解に簡潔に示されています。
特にその原因物質としてカドミウム(Cd)を特定した根拠となったのは、Cd以外のものはイ病の「地域限局性」を説明できないという疫学的な見解でした。
その「地域限局性」を示したのが図1、2です。左の図は富山県神通川流域Cd汚染地域を汚染の程度別に示しています。右図は50歳以上女子人口に対する患者の有病率です。
他の河川流域である非汚染地区や境界地区では患者は認められないのに対して、汚染地区、特に神通川に沿った強汚染地区では高い有病率を示しています。
図1 カドミウム汚染程度別地域区分 図2 50歳以上女子人口に対する イタイイタイ病患者有病率