ご挨拶

イタイイタイ病は富山県神通川流域に発生した骨軟化症と腎尿細管障害を主徴とする疾患であり、今日までに患者として認定された者181名、要観察者333名という多数の人々が発症しています。

疫学的研究により神通川の上流の鉱山から排出されたカドミウムが原因であることが明らかにされ、環境を汚染したカドミウムを摂取した神通川流域の多数の住民にも腎障害が多発することや日本全国のカドミウム汚染地域に居住する人々にも同様な健康影響が存在することが知られるようになりました。

一方、神通川流域ではカドミウムの環境汚染対策として、カドミウムの発生源である鉱山に対する発生源対策や汚染された農地の復元事業、患者救済などが今なお、粘り強く続けられています。

本シンポジウムでは「イタイイタイ病」と「環境汚染対策」、さらにこれらの経験を国際的視野から見直し世界的な環境問題の解決の糸口とする「人間と環境」を加え、3つのテーマを設定しました。

テーマ「イタイイタイ病」ではイタイイタイ病という疾患を総合医学的に明らかにした上で、日本および外国におけるカドミウムによる人体影響についての各国の研究者の報告に基づく討議により、慢性カドミウム中毒におけるイタイイタイ病の位置づけを明確にしていきたいと思います。

テーマ「環境汚染対策」ではこれまでに行われてきた社会経済、理学、工学、農学、法学など多方面からの発生源対策、土壌復元事業や被害救済の成果を報告し、今後の課題や展望を示します。
最後のフォーラム「人間と環境」ではイタイイタイ病に対する様々な人々の取り組みの世界史的意義や世界のカドミウム産業活動の環境影響など地球規模での討議が行われる予定です。

本シンポジウムが実り多いものとなりますよう、多数の皆様にご参加いただき、討議に加わって頂きますことをお願い申し上げます。
新緑の富山でお会いできますことを心よりお待ちしております。


イタイイタイ病とカドミウム環境汚染対策に関する
国際シンポジウム   会長  能川 浩二   


イタイイタイ病カドミウム汚染地域住民


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