■ 動脈血培養の採血方法について | |
【質問】
●●の看護師です。動脈血培養の採血の方法について質問します。 現在私の施設では:
上記の方法で行っています。文献によると: A. (4)で新しい22G針にわざわざ交換する必要はないと書いていました。
A. は本当でしょうか???
【回答】
先ずは採血部位に関してです。以前は動脈採血が推奨されていましたが, 現在では (1) 動脈血と静脈血で菌の検出率に有意差が見られない, (2) 患者の負担軽減というふたつの理由から前肘窩肘静脈穿刺の採血方法が推奨されています。そしてこれは質問Bへの回答にもなりますが, 両腕の肘静脈にそれぞれ穿刺して, 2本ずつ (嫌気1本, 好気1本) の計4本 (2箇所穿刺×2本の培養ボトル) を採血します。このように“ダブル”で採血することにより、(1) 菌の検出率の向上, (2) 病原菌か, 採取時の汚染菌の混入かの判別が可能になります。 次に採血部位の皮膚消毒に関してです。現在, 血液培養の採取時の消毒には2つの消毒薬を用いる方法が推奨されています。最初に (1) 消毒用アルコール, 次に(2) 1〜2%ヨードチンキにて内側から外側へ同心円状に清拭し, 30秒間乾燥のために放置します。特に消毒効果を高めるために, 穿刺前に消毒薬を十分に乾燥させます。 最後に採血後の注射針の交換に関してです (質問A)。以前は, 採血時に皮膚の常在菌が注射針に付着し, それが培養ボトルへ混入するのを防ぐために注射針の交換が推奨されていました。現在は, (1) 採血時の皮膚消毒を正しく行えば, 注射針を交換した時としない時で汚染率に有意差が見られない, (2) 注射針の交換時の針刺事故の防止という理由から, 注射針の交換は不要であるとしています。 本来無菌的な血液からの菌検出は, 臨床診断の上で非常に重要です。採血手技の原理と原則を十分に理解してください。過去にもこの「質問箱」に同様の質問と回答がありますので, そちらも是非参照して下さい。 [http://www.jarmam.gr.jp/situmon2/baiyo-shodokuhou2.html]
(日本ビオメリュー・横山 僚) |