■ 黄色ブドウ球菌の判定 | |
【質問】
「質問箱」をよく参考にさせていただいております。回答いただけたらと思いメールしました。私は現在, 惣菜パンの製造会社で製品の微生物検査をしています。以前も微生物検査に携わっていたことがあるのですが, 転職をし, 現在の会社での黄色ブドウ球菌の判定に戸惑っています。培地は“卵黄加マンニット”の生培地を使用しています。質問は: (1) マンニット培地に認められたコロニーが乳白色で, 卵黄反応が認められない場合, コアクラーゼやグラム染色などをしなくても, 絶対に「陰性」(黄色ブドウ球菌ではない) なのでしょうか。 (2) 卵黄反応を示していても, 参考書に載っているような典型的なコロニーではない場合,「陰性」に判定するのでしょうか。 (3) 先輩が,「黄色ブドウ球菌であれば, コロニーの出方が連鎖的になる」と言っていたのですが, コロニーの色調や形状ではなく, 出方も判定に関係してい るのでしょうか (撒き方, この場合は塗抹のばらつきなどではなく)。 まず, (1) の質問に関してですが, 以前いた会社では, マンニット培地になにかしらの集落が認められた時点で (その集落が黄色でも, 白色でも, 白黄でも, 集落の周辺がピンクでも, 白濁でも), コアクラーゼ検査やグラム染色の確認試験を行った後に判定していました。現在の会社では, この種の確認試験は行っていません。 次に, (2) についてですが, 見た目で怪しいと感じた菌を先輩に見てもらうのですが,「こういう風にでた (シャーレに点在する) 場合は, うちでは“陰性”でだしてます」と言われました。その根拠として(3) 「連鎖的に出る」という回答をいただいた訳ですが・・・本来であれば同定すべきなのでしょうが, 製品の微生物判定が出る頃には消費されている (消費期限を守っていれば) ものなので,「確認試験等, そこまでは求めていない」という感じです。しかし, 確認試験を行わない以上,「黄色ブドウ球菌かもしれない菌が出た」までの見解で判定をしなければならないのが, 自分の中で不安で仕方ありません。 【回答】
(2)の質問の「卵黄反応を示す」という現象を認めたら,「参考書に載っているような典型的なコロニーではない場合」でも黄色ブドウ球菌を“疑い”, 簡単な検査 (グラム染色やコアグラーゼ試験など) を実施した方がよいと思います。 (3)の質問は, 先輩の経験から言われていますが, 質問者も気付いているように, 接種手技による違いからこの表現が万人に共通して認識できるものではありませんので, 「出方も判定に関係している」というのは考えにくいです。疑わしいコロニーはPSラテックス (栄研化学) という試薬で簡単に試験してみてください[http://www.eiken.co.jp/product/saikin/other.html](ウサギプラズマ‘栄研’7 ml分×5=5,600円, PSラテックス‘栄研’100回分=6,000円)。なお, 「卵黄反応陽性で, かつPSラテックス陽性でしたら, 限りなく黄色ブドウ球菌に近いと推定できます。 また、下記の「質問箱」の回答も参考にしてください。 (1) http://www.jarmam.gr.jp/situmon3/mucoido.html
(日水製薬・小高 秀正)
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