■ Streptococcus mutansの保存方法 | |
【質問】
研究のため, Streptococcus mutansを購入したのですが, どのような方法で保存してよいのかわかりません。液体培地にグリセロールを入れて凍結させるか, 寒天培地に線針培養して低温保存か, マイクロバンクに保存する方法を考えているのですが, どのような保存方法が一番よいのでしょうか。よろしくお願いします。 【回答】
[http://www.jarmam.gr.jp/situmon/keidai_baiyo.html]
[http://www.jarmam.gr.jp/situmon/kinkabu_reitou.html]
上記のURLを参考にして研究目的に適した保存法を採用されたらよいかと思いますが,当施設でレンサ球菌 (“Streptococcus milleri”group) を保存した際には,20%スキムミルクに菌株を濃厚に浮遊して凍結保存しました。市販の食用スキムミルクでも十分保存可能でしたが,URLの中にも記載されていますように,市販の製品の中には菌株に悪影響を及ぼす成分が含まれる可能性もありますので,もし市販品を使用されるのであれば,使用前に予備実験されることをお勧めします。使用時には, 保存容器を冷凍庫から取り出し,直ちに少量の滅菌水を加えて表層部のみを溶解して菌液を取り出します。残りはすぐにそのまま凍結しておけば, 1本の容器で繰り返し使用することが可能です。購入された大切な菌株ですから,大量に培養して複数の保存容器に分けて保存されることをお勧めします。ご質問の中にあるマイクロバンクでも十分保存可能であると思います。複数の異なる保存方法を用いて保存することにより,菌株が死滅して使えなくなるという危険性も少なくなると思います。寒天培地などに穿刺して, 発育後に冷蔵保存するという方法もありますが,冷蔵では長期間の保存が困難ですから,どうしても継代培養の頻度が多くなり,菌株の特有の性状が変化していまう危険性が増大します。購入したときの状態をできるだけそのまま維持して使いたいのであれば,凍結保存して, 必要時に取り出し,使用後の再利用 (再保存) は避けることが大切だと思います。 (公立玉名中央病院・永田 邦昭)
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